こっちを見ないで。

ゴメン。 こっちを向かないでちょうだい。

アタシはアイツにそう言って、アイツの背中に頭をコツンっと当てた。

好きな人に振られて、嗚咽が抑えきれそうにないけど、アイツになら聞かれてもいいかなって思った。

好きな人が居るからって振ったアイツの背中を借りるなんてカッコ悪いなんてありやしないけど、アタシがそんな事が出来る相手はアイツしか居ないから。

何も聞かずにアタシの嗚咽が収まるまで背中を貸してくれるアイツ。

ありがとうって言うとアイツはこんな時に悪いけど、付き合ってくれないかとアタシにまた告白をした。

アタシは1度は離した頭をコツンっとアタシの背中にまた当てて、腰の辺りに手を回してギュット抱きついた。
それがアタシの返事の代わりだった。

その気持ちは伝わったのだろう。
アイツはありがとうと言うと、アタシの方へ向きを変えようとすると、アタシはこっちを向くなと言う。

泣いて腫れた瞼の顔なんて見せたくないし、1度は振ったアタシをこうやって想ってくれてた、アイツの顔をマトモに見れそうになかったから。